――受験に落ちた。だけなら良かったんだが、ついでに異世界に続く穴にも落ちた。伝説の勇者? 魔王? なんで自分が世界を救わなきゃならんのだ――

勇者として世界を救う使命を背負わされた浪人生の、受難に満ちた冒険の記録をここに記そう

2009年10月06日

ぼうけんのしょ 88

そういうわけで、ミステニヤ連合国国立勇者育成専門学校にむかって勇者として修行を積み新たな必殺技を習得するフラグが立ったのだが、そもそもそのミステニヤ連合国は自分たちが現在いるエルゴからは徒歩で3日はかかるそうなので、さすがにマリィ王女に頼んで超どピンク戦艦インフィニティに送り迎えしてもらうわけにもいかず、最終的にサロメさんがアメ(回復)とムチ(攻撃)を巧みに使い分けた説得(拷問?)によって教皇アレグリアス8世は快くエルゴ一の駿馬と馬車を用意してくれたので、それをありがたく使わせてもらって街道をかっぽらかっぽら歩く自分たち一行。
道中おいしそうな茶店なんかに寄って名物の三色団子を頬張りながらエルゴの自然豊かな紅葉なんかを観賞しつつ、年齢詐称疑惑のあるサロメさんと全盛期のシュワちゃん以上の鍛え抜かれたある種豊満な肉体を持つ葵ちゃんではあるけれどれっきとした女の子である二人に夕飯を作ってもらい、お腹一杯堪能した後はキャンプファイアーに花火で盛り上がり、ちょびっとお酒をあおって高揚したあとは、両サイドを囲まれて馬車で三人寄り添いあって、漆黒に輝く星空を眺めながらあったかい布団の中で一日を終えました。
とっても楽しい一日でした。











……なわけがあるはずないでしょうが!!!!

なんて日記にあたってもしょうがないので、理想(ヴァーチャル)ではなく現実(リアル)をちゃんと書こう。
まず、途中で立ち寄った茶屋なのだが、出された三色団子は確かにおいしかったのだけど、衛生的にあまり宜しくなかったのか自分だけ食中毒にクリティカルヒットしてしまい、もはや水分しか出ないところまでトイレで籠城せざるを得なかったこと。
そして道中の大雨・雷・雹・暴風。
しかも夜には完全にHPが1の瀕死状態の自分に夕飯を作らせるし(二人とも料理ができない…)。
おまけに、ようやく温かい布団で横になれると思いきや、生娘二人と仮にも若い男が一緒に寝れるか的なサロメさんの主張と強制のやくざキックによって寝袋一枚で外に放り出される始末。


そして今は寝袋に潜り込んでランプの光で日記を書いているが、やけに鉛筆の芯がバキバキ折れるのはなんでだろうか?
予定では明日の昼くらいにはミステニヤ連合国の国境線をまたげているはずなのだが……もしかすると憔悴死してるかもしれないので、一応遺書としてこの一言を書いておこう。

この世界に救いなどない!


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2009年08月10日

ぼうけんのしょ 87

ミステニヤ連合国は数多くの名だたる冒険者を世に輩出した武勇の国である。
また、それら冒険者を単なる傭兵の類ではなく国家を支える人材とし、その育成に国を挙げての支援を行っているいわば【武術立国】とでも呼ぶべき国家だ。
此度の魔王大戦においてもミステニヤ出身の戦士や魔法使い、果ては「勇者」は戦力の中核を成す存在として、各国で高い評価を受けている。
ミステニヤとはすなわち勇者への登竜門であり、その門をくぐらずして勇者を名乗る資格なし……とはサロメさんの弁である。

この狂気の暴力僧侶、なぜか現在自分たちのパーティーに加わっている。



魔王軍、飛龍船団。魔王に率いられたその軍勢は、エルゴが誇る十字騎士団を瞬く間に蹴散らしその秘奥を暴いてしまった。
十字教の最秘奥【久約聖書】は既になく、信仰の象徴たるコギト神殿さえもが崩壊し、十字教はその威信に多大な傷を負った、といっていい。威信を失った十字教に変わり、放射教が今後は影響力を強める、なんて見立てもあるくらいだ。

で、それに対してサロメさんがキレた。
宗教ってのはナメられたら負けなんだよォコルァァ! とか言いつつ笑顔で教皇アレグリアス8世にヤクザキックをかました後、彼女は自分たちの旅についてくると言い出したのだ。
聖職者として魔王軍の暴虐に苦しむ人々を救い、奪われた久約聖書を取り戻すため、あえて苦難の旅に身を置きたいのです〜とか何とか、アレグリアス8世相手に暴虐の限りを尽くしつつ言ってた気がする。
……マリィ王女やサヴィオ君だってここまで露骨に豹変しないぞ。まぁそんな感じで、エルゴの秘術回復魔法拷問に活用するという新感覚不良僧侶サロメさんが仲間に加わったのだった。
どうもセインさんに手も足も出なかったことが悔しいらしい。
いわく、十字教に喧嘩を売った魔王にもはや安息は無く、死よりも辛い苦痛を与えて懺悔させなければ気が済みません。神の
……らしい。

その【魔王】を自ら名乗ったセインさん――ツァラトゥストラとも呼ばれる偉大なる魔族の王として自分たちの目の前に現れた彼は、圧倒的なレベル差を自分たちに見せつけながらも自分たちを見逃した。
意味深なセリフと共に、一枚のチラシを残して。


で、そのチラシである。


「ミステニヤ連合国国立勇者育成専門学校」

     〜ミス勇で夢を掴もう!〜

就職率300%突破!(100%を超えているのは、一人で2パーティ以上に合格した生徒さんが居るためです)

「女性は私のことを貧弱な勇者と馬鹿にした」
「私はミス勇に入学することにした」
「効果は短期間で現れ、満足できるものであった」
「今では誰もが私を立派なたくましい勇者と認めてくれる」

「テキストはバインダー式だし実用新案の冒険者練習機で誰でも立派な勇者になれるようになる!なんと勇者検定一級の合格者の四割がミス勇の出身者なんですって!」




……行くしかねぇ。

なんでこんなものセインさんが持ってたんだろうとか、なにを目論んで自分をそこに向かわせるのかとか――そんなことは小さなことである。
大事なのは、どうやらここに行けば勝手に真の勇者にしてくれるらしいということだ。ミス勇スゲェ。なんでもっと早く行こうって思わなかったんだろう。
どうせ元の世界に戻る手がかりの久約聖書は奪われちゃったし、残る【龍】の所在も明らかになってないしでほとんどふりだしだし。行き詰ったらレベル上げは基本だし。


となれば即座にマリィ王女から渡された軍資金(なんか、ヴィルヒルクノフ王家にあっちゃいけない類のお金らしい)をつぎ込んで入学手続きを済ませてしまうのもやむなしということで、今日から改めて勇者としてのイロハを身につけるべく頑張ろうと期待に胸膨らませ、自分と葵ちゃん、サロメさんは一路ミステニヤ連合国へと向かうのだった。

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2009年01月09日

機工工学者

ラシアンテ共和国で盛んな巨大人型決戦兵器[ガンニョム]の設計・開発を手がけるジェネラルエンジニアの総称。葵ちゃんのお姉さんである楓さんが、この機工工学者の一人であり、シャープ・スラッシュ・ベイク・アサルト・アルターの五機のガンニョムを設計したことで、ラシアンテ機工工学者のなかでもかなり名の通っているらしい。

楓さんから前に話を聞いた限りでは、この機工工学者というのは、大変多岐にわたる業務を受け持っているらしい。
楓さんが実際に行った業務を羅列すると…
@ガンニョム設計時の絵コンテと、その設定(会議室に何十人も集まって、あれやこれやと企画を出し合うらしい)。
A各アクチュエーターの起こす運動モーメント計算に必要な二進法式演算機(コンピュータ)と、管理指示ソフトウェア(OS)の開発。
B着工式の企画・開催(神主さんたちが来て簡単なお払いをして、お神酒を呑むらしい。ラシアンテ独特の建造前儀式)
C機工工学者・建造業者などで行う合同コンパニオンの幹事業務。
Dガンニョム竣工後の、出資者であるラシアンテ軍部上流士官たちや、ラシアンテ貴族・豪族・有識者たち、また開発業務提携した名だたる財閥へのお礼参り(ちなみに菓子折りは実費だったらしい)。

…などなど、途中からほとんど外回りのサラリーマンみたいな感じになっているが、機工工学者はこれほどジェネラルな業務をこなさなければならないらしく、ただ「ガンニョムが好きだから!」とか、「自分こそガンニョムを一番うまく作れるんだ!」なんて意図で就職活動しても、機工工学者として採用されにくいらしい。日本鉄○やバン○イみたいに、「オタクなどいらんわ!」のスタンスらしいのだ。

楓さんに、機工工学者になりうる素質はなにか…という問いをしたところ、返ってきた答えは、【まずなにより体力】。研究で週も何夜も徹夜し、開発資金を得るために偉い所へ外回りして頭を下げ、休みの日は飲み会や徹マンで潰れる…これに耐ええることができる体力が、必須事項なのだそうだ。
機工工学者になりたい人は、まず学力よりも体力をつけたほうがよさそうだ。
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2009年01月06日

うまのふん

率直に言ってしまえば、ウマの尻からひり出されるもの。
サヴィオ少年の街から王都ヴィルヒルクノフへと向かう際に乗った馬車で、それが放つ独特の臭気に毒されて、その一日ろくにご飯が食べられなくなったという経験は、自分の思い出したくない思い出の上位にランクインしているくらい。
王道RPGでは大抵1Gとかはした金ででも売れることが多いのだが、この世界ではただの不潔なもの以上でも以下でもないので、道具屋に持っていっても換金してくれないどころか、ヘタすると変質者と間違えられて警備兵に通報されてしまうこともあるので注意しなければならない。収集などしないで、土壌の肥しにしよう。
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2009年01月05日

マンドラゴラの粉末

まだ自分がこの世界に飛ばされてからそんなに経っていない頃において、カーズ革命戦線というぷちテロ集団のリーダーをしていた若き日のサヴィオ少年が、父である市長の圧政に対して無血革命を行うために企画・提案していたテロ……そこに使用する予定であった、大変危険なもの。

マンドラゴラは、主にサヴィオ少年の実家方面の山で稀に採れる根菜類で、分子構造的には環状ヘテロ魔法基を持つアッパー系の麻薬でもあり、こっちの世界でいうところのコカのように強力な幻覚・興奮作用がある。採取自体が完全に違法なので、こんなものを家で栽培しようものなら警備隊が押し寄せてすぐに逮捕されてしまう。ちなみに、この前ニュースで見たのだが、サヴィオ少年の実家の方の大学キャンパス内でこのマンドラゴラが流行していて、かなり話題になっているらしいのだ。完全な余談だが。
マンドラゴラを擂り潰し、精製して製造されたマンドラゴラの粉末はとても強い顆粒麻薬であり、常習者は主に口内や鼻腔内などの粘膜から摂取するらしい。よい子は絶対にまねしないように。
カーズ革命戦線のリーダーであった時のサヴィオは、この粉が大量に入った箱を自分の父である市長の元に郵便で送りつけ、時限タイマーによって爆発拡散させて混乱させようと計画したのだが、諸事情により取りやめとなった。もしこれが行われていたら…今頃マンドラゴラ中毒者が村に溢れていたことだろう。危ない限りである。
posted by ある浪人生 at 01:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 勇者備忘録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月02日

ぼうけんのしょ 86

驚くべきことに、この世界の暗黒卿であり、人類に畏怖と恐怖をまき散らす魔王はなんと、あの乱射狂(トリガーハッピー)の若き修道僧セインであったのだ!!!!


……なんて、実はあんまり驚いていない自分がいるのである。だって、この世界に飛ばされてからというもの、こんな小学生低学年が考えるような全く練り込まれてない展開ばかりなのだから、そりゃ心臓にも毛がふさふさと生えるに決まってますよ。
てか、自分的にはてっきり葵ちゃんあたりが、実は魔王なのではないのか…なんて憶測をしていたくらいなのだから、落胆の方が大きいのだ。葵ちゃんには悪いけど。

結果を先に記載してしまえば、苦労して手に入れた久約聖書を、その内容をほとんど読解できぬまま速攻で奪われ、ぜんぜん謎を解き明かすことも出来なかった自分たち一行をよそ目に、魔王セインはドラゴンの背に乗って何処かへととびさってしまったのだが、ではなぜ直生の聖眼をもつ最強格闘娘こと葵ちゃんと先端嗜好症の気がある「前線で戦う白魔法師」ことサロメさんの、戦国武将もびっくりの二大女傑がいたにも関わらず、なぜなんなくと久約聖書を奪われてしまったのか…その原因は、率直に言えばこうである。

セインさんが、ものすごく強かったのだ。圧倒的に強すぎたのだ。

既に神々の域に足を踏み入れているゴッドオブウォー葵ちゃんの超絶乱舞と、サロメさんの魔法攻撃を、まるで未来でも見えているかのように攻撃を予測しきった感じで、赤子の手を捻るかのように左手だけで必殺技のオンパレードをさばき切っているその光景は、自分の心の隅に残っていた一抹の疑惑を払拭するのに十分だった。うん、間違いなくセインさんは魔王である。すくなくとも、魔王と自ら語ってもイタい人にならないくらいの戦闘力は持っていると思われる。…昔、自分と一緒に旅をしていた時と比べても、段違いに強いのだ。たぶん、実力を隠していたのだろう。

そんなこんなで、あまりの実力差に愕然とする二人の後ろに隠れながら、結局自身には関係ないだろうと楽観的に傍観していた自分に、向かえに来たドラゴンの背に乗ろうとしていたセインさんは、人差し指を向けてこんなことを言い捨てたのだ。

異界からアインソフオウルに導かれて扉をくぐりし0の奴隷よ、この世界の魔王である私を倒し、久約聖書を取り戻してこの世界の悪しき理を皆に科そうとするというのであれば、勇者として鍛えなおしてから魔王城へと来るがいい!・・・と、王道且つ月並みな台詞を恥ずかしげもなく言い放つのだからたちが悪い。
てか、セインさんは何か勘違いしている。自分は別にこの世界をどうこうするなんて崇高な目的を持っているわけじゃないのだ。ただ単に、自分は元の世界に帰るために行動しているだけだし、そもそも最初から自分は勇者なんて器じゃないし。
それを勇者としていちから鍛えなおして来いなんて言われても……だいたい、勇者を鍛えるってどうするのだろうか。

なんて心の中で毒づいていた自分は、セインさんがドラゴンと共に飛び去る際に投げ渡してきた1枚の紙切れの表紙を見て、脳内パルプンテ状態となってしまったのだ。
その表紙には、何人かの男女が、それぞれオーソドックス過ぎる勇者や武闘家・戦士・魔法使い・賢者などの格好をして、巨大な建物の前で笑っている写真と、そしてその上下にデカデカとしたゴシック体のフォントでこう書かれていたのだ。


ミステニヤ連合国国立勇者育成専門学校
   
未来の勇者や、そのパーティーの一員になりたい学生よ、集え!
   どこまでもどこまでも果てしない世界、信じて行きたい、夢は終わらない♪


         
〜24時間365日願書受付中〜





…………え、ココで!?
posted by ある浪人生 at 22:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月23日

ぼうけんのしょ 85

回復魔法ってのは便利なもんである。
相手を殺さない程度にボコボコに→回復→タコ殴り→回復→……という想像するだに恐ろしい無限ループを構築できるのだから。

そんな感じで、サロメさんに本当に心ゆくまでタコ殴りにされたアレグリアス八世は「わ、私は今まで何をしていたのだ……」とお決まりのセリフなど吐いて正気に戻ったらしかった。何でかは深く追求したくないが、このどうみても七十台以上の爺さん、サロメさんに頭が上がらないようで終始申し訳なさそうにサロメさんに謝っていたり。しかも「あの程度の洗脳魔法にかかるとは情けない」とかなんとか、まるで子供に説教たれる婆さんが如く長々とお説教を最高権力者にたれるサロメさん。うん、また人外が増えたってことはわかった。



問いただしたところ、アレグリアス八世もまた例の紅い魔石に触れ正気を失っていたらしい。……懐かしのどっかの馬鹿市長も持ってたな、アレ。信者から供養してほしいといわれたその宝石には強力な呪がかけられており、うっかりそれを手に取っちまったお茶目なじじいアレグリアスは「のろわれていて はずせない!」状態になり後のことは覚えていない、と。

魔王軍が攻めてきとんのに何をやっとんじゃいこのヒヨッコが、とサロメさんに虐待されそうになる老人をかばいつつ、とりあえず自分達はこの教会の最秘奥にある『久約聖書』を拝ませてもらうことになった。




結論から言えば、久約聖書と呼ばれたその書物は、自分たちの世界によくある使い込まれたコクヨのノートだった。
かなり古ぼけてはいるものの、表紙にはマジックででかでかと「設定資料@」と書いてあるのが見て取れる。背筋に寒気が……
 
 最初の一ページは中学生くらいの科学の授業をノートしていたと思われる内容で、次のページからは鉛筆書きの雑多な文字で埋めつくされていた。そこに描かれる内容はあまりにもあまりな内容すぎて、とても自分の口からは言い表せそうにない。

とりあえず、果てしなく湧き上がるいやな悪寒を振り払いながら、いくつかの項目を抜粋して記述しておく。



○世界法則〈概念〉
 この世界を統治するすべての法則。
【0】(アイン・ソフ・オウル)と呼ばれた存在の意志は【言葉】(ロゴス)として顕され――【言葉】が全ての実存を規定した。【0】は【言葉】によって、認識に世界を従わせる力を持っていた――
【第一原因】とも【運命環】とも呼ばれるその意志に従い全ての情報が構築され、それが【世界】となった――
そして――世界の【存在しようとする意志】の体現者として――世界の存在保持の象徴として十の【龍】を作り出した。龍はすなわちそこにあろうとする力であり、世界そのものの存在意志であるといえる。
【0】は、この【抽象概念】――すなわち【記号】――で支配される世界の存続のためのひとつのルールを定めた。
―――――――――【二元対立】―――――――――
【光】と【闇】、【天使】と【悪魔】、【人間】と【魔族】、【生命の樹】と【邪悪の樹】――

すなわち、【善】と【悪】の拮抗を世界を活性化しその存在を永らえる唯一にして最大のルールとしたのだ。
【運命環】に導かれし選ばれし者たちの戦いが、今また始まろうとしていた――


○生命の樹〈概念〉
 【世界樹】とも呼ばれる、この世界の基本構造をあらわす概念にして世界そのものでもある。世界は十の要素(セフィラ)に分けられ、【龍】としてこの世界に形を成している。
 【龍】は世界の条理をつかさどる存在であり、世界意思の具現ともいえる。


○ロゴス〈武器〉
 世界を構築することば、すなわち【記号】を書き換えることであらゆるものを断ち切る聖剣。神話の時代に作られた神をも殺せる剣であり、伝説の超常神器(トランセンデンタル・ウェポン)のひとつ。あまりにも強力すぎるその力は、使い方を誤れば自らをも滅ぼしてしまう。また、選ばれし者以外が手に取るとものの数分でエーテルを吸い取られ死んでしまう。


○直生の聖眼(技)
 生と死は、本来は位相が違うだけの同本質。
 生から死への付加逆位相の法則さえも打ち破る神の能力。


○一式・天魔覆滅覇王乱舞(技)
 動作を最小限度に、威力を最大限度に――その極致を極めたときに発動する最強の物理攻撃。およそ生命体の中で破壊せしめ得ぬものは存在しない


○九生滅殺ノ荒神(技)
 生体に流れるエーテル、すなわち【気力】を凝縮し放つ気孔波。防御したとしても相手はエーテルに干渉を受け大ダメージを負ってしまう


○【炎獄精霊】(サラマンダー)
 自然界の四つの要素をつかさどる精霊のうち、火のエレメントであるサラマンダーそのものを召喚する高位魔法。その魔法等級は第二等級【智天使(セラフィム)】クラスであり、非常に強力な術者でなければ制御できずに焼き尽くされてしまう。
 詠唱呪文「炎滅こそは我が望みなり! 我が呼び声に答えよ焔の魔神!」




 etc.……


端的に言おう。






これ黒歴史ノートじゃん!





なんてゆーか、中学生が頑張ってノートに書き溜めてた設定そのまんまみたいなこの聖書……とやら。
まさか、もしかして……創造主が書いた黒歴史ノートだったりして。
いや、まさかね。ははは。

他にも

○勇者シン
○魔王セイン
○白魔法士ミリィ
○僧侶サロメ


とか自作イラストつきのキャラ表までついてるしさ……身長体重好きなもの口癖キメ台詞に技のコマンド表まで載ってる……

しかし、昔どっかで見た覚えもあるような気がして何やらひどく冷や汗をかくなこれ……確かに禁断の書物だ……


あれ?
なんか色々見覚えある名前があるような気が。



なんてことを考えてたら、不意に神殿を揺るがす轟音が轟き、続いて大地震が自分たちを襲った。

強固な結界と城壁で守られたコギト神殿は、その初撃で中核をあらわにしてしまっていた。崩れ落ちた外壁の向こう、そこには――飛竜によって構成された魔王軍の飛行船団の姿があった。


そして、その軍勢に注意を奪われた瞬間、自分の手からは久約聖書が消え去っていた。
魔王軍を率い神殿を破壊し、久約聖書を自分から奪い去った人物は、自分たちの目の前にいたのだ。


そこにいたのは、かつて共に戦った仲間であるはずの、セイン修道士だった。
posted by ある浪人生 at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月23日

ぼうけんのしょ 84

今回は奇を衒わず、シンプルに楷書しようと思う。

葵ちゃんが十字教の秘術である[回復魔法]の最高峰である[直生の聖眼]によって、絶対破壊不可と謳われた呪術式強化装甲扉をその荒ぶる右拳でこれがわたしの自慢の拳です的な発言と共に豪快にぶち破ってくれたのはよかったのだが、どの段階で情報が漏れたのか、そのすぐ奥に下卑た笑いを振りまく十字教教皇アレグリアス八世とその護衛の十字十三使徒達が待ち伏せしていて銃口と剣先をこちらに向けている…なんて絶体絶命的な状況に陥ったにもかかわらず、いざ決死の覚悟で戦闘を開始してみるとあまりに弱いことが判明。
というより、単純に葵ちゃんとサロメさんが強すぎるだけかもしれないが、そういったのを全部加味しても、このビール腹でぷよぷよの二重アゴをもつアレグリアス八世と重火器・重剣を振り翳していた十字十三使徒……壊滅的に弱すぎたのだ
たぶんだが、時間にして2秒経つか経たないかくらいで葵ちゃんの魅惑的なおみ足とおみ手の餌食となって十字十三使徒合計13人は全て夢の中。最高の護衛が一瞬で壊滅したことを理解する間もなく、背後に回りこんだサロメさんから切れ味よさそうな見た目完全に殺傷用の鋭いナイフを首に押し付けられたアレグリアス八世は泣きながら土下座して命乞いをしているではないか。
仮にも悪役ならもうすこし矜持をもてといいたいところだが、サロメさんのあの焦点があわない狂気の瞳をまじかで拝見していたとしたら、土下座どころか彼女の靴を舐めていたかもしれないので口をつむんでおいた自分。

ともかく、こうして自分達一行はアレグリアス八世の案内のもと、久約聖書が保存されているという地下通路を歩いている。
神と人との契約が書かれたとされるその書物の中には、いったいどんな真実が書かれているのだろうか。

まぁ、いつも通りぶっとんだ何かが待ち構えているのだろうけど。
posted by ある浪人生 at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月21日

ぼうけんのしょ 83

デンドンデンドンデンドンデンドンデン デデデン



おきのどくですが ぼうけんのしょ は きえてしまいました。





……なんていう一部の世代にとってはかなりリアルな悪夢から目が覚めると、なんか

まるで一年以上時間が止まってたような

久しぶりな感覚。いや、昨日葵ちゃんがサロメさんに連れてかれてから一晩しか経ってないハズなんだけど……まぁこの世界の気まぐれな運命環のやること、あまり深くは考えないほうが精神衛生上よろしい。


ま、そういうわけでこれからも日記を続けていくのだけれど、いかんせん色々忘れているような気がするのでちょっと状況など整理してみよかね。


・成り行きで勇者とされた自分は、この世界を救わなきゃならないらしい。ってもそんなことよりまずは元の世界に帰ることが第一なのだけど、それにはこの世界に伝わる伝説の十匹の【龍】の力を集めなければならず、同時に魔王軍もそれを狙ってたり。

・現在自分は仲間の葵ちゃん(武道家ポジション)と二人で【十字教】の聖地【エルゴ】にいるのだけれど、現在この地は【放射教】との争いに加え魔王軍の本格的な侵攻にも晒されつつある一触即発フロントライン。
そんななか自分達は、サロメさんという外見(だけ)少女な高位僧侶の依頼で、急変した教主の謎を探るために神殿に潜入しようとしている。んで、ついでにこの世界の創生の秘密が隠されてるという【久約聖書】も見れたらいいなー、みたいな。

・神殿への潜入には厳重な封印が施された裏口を使う。


よし、なんとなくわかってきた。むしろわけがわからない気もしてくるが。


にしても……ちょくせいのせいがん……ちょくしのじゃがん……イイのかコレ。
なんか自分に関して要らんスペックが次から次へと追加されてってる気がするんだけど。この分だとそのうち天使の羽が生えたり確立制御が出来るようになったり世界を調律できるようになったりするんじゃないだろうな。あながち杞憂であるともいいきれないあたりにこの世界の不条理を感じる今日この頃。

などと微妙に先行きに不安を感じていたりする自分の心境などかえりみることもなく事態は進行して、今や神殿の裏手、城壁といっても差し支えないくらいの壁面にぽつんとおまけみたいにくっついてる扉の前。


何をされたか知らないがやたらとセリフに「――」を多用するようになった葵ちゃんは、【直生の聖眼】だかなんだかの力で【再生の一点】が見えるようになったそうだ。まーなんか存在の根源を概念的に知覚する能力とか何とか煙に巻くよーな表現を使っとけばいいか。とりあえず、自分は活殺自在のツボを突く能力だと勝手に解釈。突く場所によっては『生体の再生能力を暴走させることで細胞を破壊し、肉体を爆裂させることも出来る』のだそうだ。この現象を専門用語でHIDEBUエフェクトと言うのだとか……
しかもこの技、概念的に存在を認識できれば非生物だろうが何だろうが強制的に【生】と見なしてしまえるとか。その上で活殺自在。
まー要するに超汎用性の高いなんちゃら神拳である。なんだか格闘系能力がバカバカ向上していく葵ちゃん、そのうち髪が金色になったり物質を思念で分解・再構成して装着したり素手でAFを破壊したりするようになっても驚かない。

それよりも、こんな伝説級の技をポンと伝授してしまうサロメさんのほうが底が知れない……本人曰く「昔の知り合いに教えてもらった」そうだが……とりあえずあなた年齢はいくつなんですか?


まそんなこんなで、葵ちゃんの指先ひとつでダウンした扉を乗り越え潜入するはコギト神殿。これから先何があるかはわからないけれど、ただひとつ確かなことは、どうせ自分はロクな目には合わないであろうということだ。

自分の受難の日々は、勇者フル†デイズはまだ終わってくれそうにない。

さぁて、もう開き直って適当に頑張るぞー……前向きなのか後ろ向きなのか自分でもわからないぃ……
posted by ある浪人生 at 16:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月06日

ぼうけんのしょ 82

…とは言ったものの、やっぱり物事には順序なるものがあって、さてコギト宮殿に忍び込むことを決めたとしてもそれなりの準備が必要なので、今日はコギト宮殿攻略の『傾向と対策』をじっくり練ることになったのは当然といっちゃあ当然であった。
で、自分が泊まっている安宿の一室で会議が始まったわけなのだが、サロメさんが指摘するコギト宮殿はアルヴァ並に強固な武装で守られているのだそうだ。たとえば、正面から堂々と忍びこんで行くとしたら…エントランスでまず【十字騎士団】による重火器と大剣(クレイモア)による大歓迎会があり、そこを幸運にも突破できたとしても、『久約聖書』がある奥の大乗殿までの道のりは険しい。話しに出てきた罠の数々がもし実在するのなら、トラップの忘年会状態である。しかも、それを乗り越えたとしても今度は教皇の直属の近衛兵にして卓越した戦闘能力を保有する【十字十三使徒】と一人ずつ激闘を重ねなけれならないのだと真面目くさい面持ちで語るのだ。
うん。無理だ。
しかし、実は大乗殿のすぐ裏側に扉があることにはあって、結局そこを隠密行動地点とすることになったのだが…そのルートには一つ難点があって、詳しい話を聞いてみると、あんがい正面から強襲しかけた方が楽なんじゃないかと思えるほどに、その扉にはある秘密があるのだ。

十字教の神父さま達がかわるがわる何年もかけて魔力をぶち込んで精製された呪術式強化装甲扉……なんともライトノベルチックな要素てんこもりな感じではあるけれど、それをなんとかしてぶち破らないと【久約聖書】までたどり着くことはひどく困難になるであろうことは、自分でも分かった。
みんながいれば嗾けて正面突破させるんだけどなぁ。…自分は逃げまわってるだけだろうけど。

話を戻そう。サロメさん曰く、その呪術式強化装甲扉は呪術によってその存在は既に【死んで】いるのであり、よって【死んで】いるものをいくら破壊しよう(殺そう)としてもそもそも不可能なのだという。だから、いかにぶっ叩こうが、刺し貫こうが、撃ち穿とうが……理論的(?)には死ぬことはない。存在的に死んでいるから、破壊もできない。
そんな扉を破るには、一度【生きかえ】させなければならないのであって、それには【直生の聖眼】を持つ者が【再生の一点】を正確に突ききることが必要なのであると言う。


死と生は、本来は位相が違うだけの同本質。
生から死への付加逆位相の法則さえも打ち破る神の能力。
それが…【直生の聖眼】



ほう。ただの言葉遊でザレゴトな感じは否めないけど、そうなんだったらそうなんだろう。反抗はしませんよ、ええ。反抗してもいいこと一つもありませんし。

で、寄る年波にはあがなえない今のサロメさんにはその扉をぶち破るほどの力は無いらしく、その才能の片鱗を見せる葵ちゃんに【直生の聖眼】を発動させる魂胆で、作戦会議後に葵ちゃんを引き連れて何処かに特訓しに行ってしまったのだ。
宿屋に一人とり残される自分。

……よし。明日に備えて、今日はいのちだいじに』作戦で早めに就寝するとしよう。
どうせ、明日にはとてつもない展開が待ち構えているんだろうしなぁ。


PS:これまたサロメさん曰く、全てのモノを生のベクトルに移行させる点を視る能力『直生の生眼』の逆位相に位置する能力として、全てのモノを死のベクトルに移行させる線を視る(つまりはどんなものでも[殺せる])『直死の邪眼』という能力もあるらしい。そして、なぜだかおぬしには『直死の邪眼』の片鱗が見える!!…とかも言われました(ちなみに、現在の自分の眼はいたって良好で、変な線なんか視えません)。
posted by ある浪人生 at 02:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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